プログには良い事ばかり書いていてもいけませんね。今回はレッスン上のこれまでの私の大失敗について冷静沈着に振り返りたいと思います。
 
楽器店に勤務していたころは年間10~20名の入会がある一方で同数ぐらいの退会がありました。
2年前にフリーのサックス講師になってからは、レッスンに専念できることもあり、幸い2年間でほんの数名の退会にとどまっております。
 
大きく減少したとはいえ、そのほんの数名の退会理由は私に非を感じたからであることに間違いありません。在籍もかなり増え、日々レッスンに対しての感謝のお言葉をいただいているこの時期だからこそ、冷静にその退会理由を分析して、同じ過ちを犯すことなく自分のレッスンスキル・アップにつなげられたらと思います。
 
サックスセラピーは入会金や休会費をいただいておりません。ですから実質退会という手続きや意思表示は必要ありません。実際一年以上レッスンにお見えになっていなかった方がひょっこり顔を出すことも少なくありません。

そのようなシステムの中、レッスン中にご相談や改善要望を直接おっしゃっていただけずに、メールで退会を申し出る方がごく僅かながらいらっしゃいました。正直、改善のチャンスを一度もいただけず、メールで、というのは全身全霊でレッスンしている私には正直かなり堪えます。
本当に悲しく、その程度の信頼しか得られていなかったのだと自己嫌悪に深く陥ります。反省しても反省をその生徒さんに生かすチャンスはないのですから、ただただ「後悔先に立たず」と自分を戒めるほかありません。
 
一人一人の置かれている音楽環境、性格を推測しながらそれぞれに全く異なるプログラムでレッスンしております。私は特に人徳があるわけでもなく、付き合いが短い生徒さんに関しては誤解することもあります。何ヶ月もかけてほんの少しずつ理解できるよう努めております。チャンスをいただけるのでしたら、レッスンパターンは経験が長い分ある程度の数を持ち合わせておりますから、どなたに対しても誠心誠意、軌道修正させていただきたいと常々思っております。
 





 

数少ないサックスセラピーを退会された生徒さんのタイプを大別すると以下の三つになります。あくまで個人的推測の域を出ませんが。
 
 
Aタイプ…高齢者男性 社会的地位の高い方-楽譜への書き込みやアドバイスの仕方に不満のある方-演奏本番を控えている、もしくは本番を終えた方-はっきりと要望を伝えていただけない方-上達を最優先としていない方
 
Bタイプ…中高年女性 サックス関連以外の内容のメールが比較的多い方
 
Cタイプ…中高年女性 やりたい曲がすべて講師任せの方
 
「敷居を低く」「どんな要望にも可能な限り親身になって応える」それがモットーでもあるので、Aタイプの方については、要望の受け取り方が違うことをご指摘いただければ改善できると思っています。楽譜への書き込みは個人練習の際、難しい専門用語は極力控えレッスンでのアドバイスを思い出せるよう平易な言葉で書きます。イメージトーク中心なので、安っぽい言葉、幼稚な言葉が多くなりがちです。そこに悪意は全くもってありませんがそういうタッチで同じことが何度も書かれていると嫌になるということでしょうか。一応これでも昔国語の教員をやっておりましたので、言葉遣いには細心の注意を払っておりますが、演奏本番を控えていらっしゃる方の場合、趣味とはいえ、私としては満足のいく演奏をして良い思い出となるよう願う一心でおりますから、このままだと間に合わず本番で恥をかくかもしれないと懸念される箇所があれば、多少厳しく感じられるような声がけをしてしまったり、大げさな表現をしてしまい、結果ご機嫌を損なってしまうのかもしれません。今後はいかなる時も「口は災いの元」と肝に銘じます。
 
Bタイプの方については、フレンドリーにしていただくのはそうじゃないよりも私も嬉しいですし、非常にありがたいことです。ただ多くの生徒さんのサックスやレッスンに関するサポートメール優先ですので多忙なときはサックス以外のメールに関してはお返事が遅れたり、できなかったりします。入会時にその旨お伝えしていかなくてはなりませんね。
 
Cタイプの方については、講師なんだからどんどん提案すべきでは、という声が飛んできそうですが、1曲提案するのも実はものすごく慎重です。全然興味のない曲に苦労する機会を与えてしまってはサックスが嫌いになりかねません。根本姿勢は生徒さんのやりたい曲、できるようになりたい事、知りたい事に関して知り得る限りの有益なアドバイスを丁寧にわかりやすくすることで、生徒の個性を尊重したいので、たまに迷いが生じたときに幾つかの選択肢から絞り込んで提案はできますが、選曲を100%講師に、というご要望は私には責任が重過ぎて無理です。
 
音楽教室コンサルタントやベテラン音楽講師のご意見を拝聴するに、「万人受けする教室は流行らない」というのがあります。
今足しげく通っていただいている生徒さんをより大切にするためにも、改善できるところは今日からでも改善し、今後募集対象はできる限り絞り込んで、お客様に失礼ないよう正直にできないことはできないと言えるようにしていこうと思っております。
 
Cは諦める、AB、特に複数名が複数の共通理由で退会に至っているAに関しては、これを偶然のことと思わず、私の最大の弱点と認識し早急に自己改革に着手せねばならないと思っております。
 
 
Aタイプのような方には楽譜の書き込みを極力せず、教本に書いてあるような言葉で私意を挟まず簡潔に要点をまとめたメモをお渡ししたり、本番前だからといって講師自身が熱くならない(期待しすぎても生徒の負担になると学ばせていただきましたので)、結果間に合わずに演奏が上手くいかない箇所があったとしても明るいフォローで元気付ける、そのような柔軟な対応をしていきたいと思います。それが正しいかどうかはまた試行錯誤の後、自身でよく検証したいと思います。ついつい「この生徒さんならやればできる」と思ってしまうのですが、人によりけりと割り切らなくてはなりません。
 
滅多にないことですが、過去二人の生徒さんと真っ向からぶつかってしまったこともがあります。そのお二人とも私とお互いの意思が疎通し、現在に至るまで長くレッスンに通っていただき、衝突したことがまるで夢でもあったかのように良好なアットホームな雰囲気の中レッスンさせていただいております。
 
でも最近は年のせいですかね。明らかに誤解でもぶつかる気力がなくなってきました。ポリシーはあるけれどプライドはなくなってきたのかもしれません。伝わらない悔しさも時には残りますけれど、挽回の機会がない場合は潔く気持ちを切り替えることが重要ですね。
 
恋愛も温度差があると上手くいかないと聞きますが、レッスンも温度差があってはならないようです。
 
お恥ずかしいことばかり長々と並べましたが、時に弱点を正直にこのような形で生徒さん・未来の生徒さんに発信するのも、私の人となりを知っていただける一機会として良いかなと思います。

個人教室の講師は想像以上に孤独です。まだまだ経験不足の身ですが、同じように音楽講師をなさっている方からのご指導・ご鞭撻をいただけたらこの上なく嬉しいです。